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2010.04.13

「『東のエデン』TVシリーズ一挙上映AR【拡張現実】オールナイト」之記録

「『東のエデン』TVシリーズ一挙上映AR【拡張現実】オールナイト」とは、世界で初めて!映画館でアニメ全話を鑑賞しながら、ARを使って観客のコメントをスクリーン上に表示するというイベントなのであった!

・・・というイベントで携帯の電波が入らなかった、という心の傷から立ち直るのに3週間くらいかかりましたが、ついに今週はノイタミナでも「オールナイトARシアター」なるものをやるらしいので、ここらで思い切ってレポを上げるぞ!

場所はテアトル新宿。

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レポは当日もらった進行表と照らし合わせながら書いてみます。

【23:50-0:30 ARチュートリアル&第一話AR上映】
石井プロデューサーが司会で、神山監督とAR(長男)が壇上へ。
写真撮影も携帯もOKです!という普通の映画上映前には有り得ない注意事項の後で、まずARの使い方を説明。
会場でもらったちらしのQRコードからアクセスすると、今日のために特別に用意された「東のエデンシステム」にアクセスすることができ、ここに書き込んだことが映画の大スクリーンに表示される、という仕掛け。
少し練習のために書き込んでみてください~と時間をとったところ、観客が一瞬でマスターしたため、さっさと本番やるか!というノリで「東のエデン」テレビ第一話の上映開始。

神山監督・石井プロデューサー・AR長男さんも最前列に座って一緒に鑑賞。

映像を見ながら、画面にレイヤーとして表示される観客のコメントを重ねて見る手探り状態。最初はもちろん咲ちゃんの出番で『咲ちゃんかわいい』というコメント達に「咲ちゃんはスタッフからは『しっかりスイーツ』って呼ばれてるんですよ~」と監督の裏話が入ってなごんだ雰囲気。

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そして、全裸の滝沢君が登場・・・するなり
『全裸を隠せ!』
と皆が一丸となって滝沢君の上に全力でコメントレイヤーを被せにかかり、会場も監督達も爆笑。
ここで一気に『これは面白い!』と会場の熱気が上がり、コメントでつっこみを入れたり笑いを取ったり、笑顔の滝沢の後ろに『さわやかな変態』とレイヤーを表示させたりと盛り上がってきました。

監督も乗せられたように、咲ちゃんが服を貸すシーンで「帽子から貸すな!ってね・・・」とつっこみを入れて笑わせていました。

コメントを入れながらだと一話はあっという間に終了してしまい、三人はいったん退場。


【0:30-1:40 第2,3,4話上映】
休憩をはさみつつ、ARなしの通常本編上映


【1:40-2:20 トークショー】
皆がそろそろ寝に入るのを叩き起こすべく、神山監督が再び舞台へ。
スクリーンに表示される皆のコメントに返事する形で、監督が質問にその場で答えるという企画。

抜粋
『ノブレス携帯のケース(タチコマ型のアレ)の空いている部分は何が入ってた?』
ノブレス携帯のオプションのアタッチメント(例えばバイクに乗る時に携帯を取り付けるような)が入っていたという設定だった。

『ノブレス携帯商品化してください!』
商品化するには本当に100億いるとNEC談。携帯の新機種の開発費がちょうど100億くらいかかるらしい。

『キャラの鼻の上のカゲ何?』
ウミノさんの絵をアニメで動かすのに、元の絵の面影を残すのに試行錯誤した結果、鼻は線じゃなくあの影をつけた方がそれっぽいということになった。大杉のほっぺも同じ。

『滝沢のスクーターはどこの?』
モデルにしたのはスズキのです(と説明してる監督の後ろに「VIPルームからどうやってバイクで階段下りたんですか?」とコメント入って皆忍び笑い)

『キャラのネーミングはどこから?』
滝沢朗は、もう最初に企画が出来たときから滝沢朗だって決まってた。
みっちょんとか平澤とか春日はスタッフの名前から。物部は歴史上の「物部氏」から雰囲気で取った。

『結城のパスポートはどこの?』
国は攻殻S.A.C.のシアク共和国。文字は精霊の守り人のヨゴ文字。

『ジョニークリーチャーって結局何だったの?』
記憶のない滝沢の潜在意識の中に現れてきている二万人ニートの記憶

その他、平澤の眼鏡はフォーナインズのだとか、みっちょんのお父さんは有名人という設定だとか、亜東才蔵の「誰ですか?あなたは?」はジブリのM監督の口癖から取ったとか矢継ぎ早に答えた最後に、『ぎゃふんって言って!』というコメントが出て、神山監督が「ぎゃふん!」と言って綺麗に締まりました。


【2:30-4:40 第5,6,7,8,9,10話上映】
寝るためにあるような時間でした。といいつつけっこう皆起きてましたね・・・立ち見の人は本当に大変だったと思います。オールナイトで立ち見券買うのすごいよ。


【4:40-5:10 第11話AR上映】
再び神山監督達が参戦。
しかしもう観客は疲れと眠気がピークで、コメント打ちもぐだぐだになりつつあり、監督が
「ニートが裸なのは滝沢が抵抗しにくいように剥いたんですよ~でも『もまいら、毛あるな?』ってのは『坊主頭じゃないな?』って意味ですよ~滝沢は下の毛を剃るほど鬼じゃないです~」
とぐだぐだした観衆の心をきゅんとさせるようなトークを繰り広げたり
「亜東才蔵は義体です」
と爆弾発言をして、会場中が妙なテンションになったりしました。

そして遂に、東のエデンのラストを飾るシーンがやって来ます。「みんな、この国を救う方法を書き込んでくださいね!?」という石井プロデューサーの前振りがあったりしつつ・・・メリーゴーランドの上に立った滝沢に、観客は一斉に携帯を向け・・・

会場に響き渡るシャッター音。

コメントよりAIR KINGの写真を撮ることを優先する観客でした。そりゃそうだよなー。でも会場の全員が携帯画面をスクリーンにかざす様は、本当にスクリーンの中の光景が外にも広がったようでした。

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一番のハイライトで意外にも書き込みがそれほど盛り上がらなかったので、これで終わりか・・・と思いきや。
滝沢君と咲ちゃんの別れのシーンからぽつぽつ「ありがとう」というレイヤーが入りはじめ・・・エンディングが流れる中、「東のエデンを作ってくれてありがとう」「東のエデン大好き」「この作品に出会えてよかった」「楽しかった!」「神山監督ありがとう」というレイヤーで、映画館の大きな大きなスクリーンは一面埋め尽くされたのでした。

それは本当に、これを神山監督に見せてあげるために、今日という日が、そしてARという企画があったんだ、と思わせるようなシーンでした。

いろんな場面に様々なコメントをつけるのも、もちろん面白いことだけれど、このアニメを11話見終えたときに心を打たれたその気持ちを、みんなこうやって叫びたかったんだよなあ。最終回を観た夜に戻ったように。


最後に舞台に上がった神山監督は「最後、胸がいっぱいで言葉が出ませんでした・・・」と言い、「10話、11話を作っているときは放送に間に合うのかも分からず、ただもう必死だったけど、こうやって皆がどんな風に思いながら作品を観てくれたのかを体験することができて、本当にこの企画をやってよかったです」と挨拶していました。

この日の映画館のスクリーンを埋め尽くした「ありがとう」は、なんだかまるで「東のエデン」というアニメの一部分のように、今でも心の中に残っています。


というわけで、ごちゃごちゃした私見は以下に収納

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2010.04.11

「東のエデン完全設定資料集」

ここ最近、枕元に置いていて、ついつい見てしまう一冊。「東のエデン完全設定資料集」。

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レジで2520円を請求されたときは息が止まりましたが、最近出た「東のエデン」関連本の中では一番値打ちありました。見てると時間が飛びます。

東のエデンといえば「美術ボード」が売りで、その絵なら色んな雑誌やイベントの企画でさんざん見たので、またそれか・・・と思ってたら、なんとキャラ設定資料、小物関係設定資料、背景も美術ボードだけじゃない線画の美術設定山盛りで、何を見てもほとんどが初見という豪華っぷり。
最後の映画まで公開された後に、こんな初物尽くしの本が出るとは。

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羽海野チカさんのキャラ設定は先日の「劇場版Ⅰプレミアム・エディション」に全収録されていたのですが、こっちのキャラ設定はアニメのキャラクターデザイン担当の森川聡子さんの手によるものです。

女性なのに、こんなにも男性の全裸を描き分けていらっしゃることに、感動の涙を禁じ得ません。というか資料に占める若い男性の裸の割合が多すぎるんですが・・・。(これブログの健全度的に貼っていいか悩む)

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設定を模索している段階のスケッチなのか、「誰?」って絵があるのも面白いです。
左上:「メイクしてないおネエ」(こんなおネエはイヤだ)
右上「辻」(キャラどうした!)
左下「咲ちゃん」(ウミノ的表現試行錯誤中らしい)
右下「森田さん滝沢君」(なつかしいポーズ!)

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何でもあってどれも素敵なので、どの辺をお薦めすべきか・・・。「ufotable Cafe」の「東のエデン展」が、カフェだからか食べ物の設定資料画を展示していてそれがすごく面白かったのですが、その食べ物関係資料も全部入っていたのが個人的にはすごく嬉しい。悪夢のフランス料理とワインも収録されてます。
ワインのラベルが1989年で、咲ちゃんと大杉君の生まれた年のなんですよね・・・!泣ける!!

時にはつっこみ、時には見とれ、作品が好きならどこを見ても楽しい!って本でした。ほんの少しの設定画を求めて雑誌を買いあさった日々が走馬燈のように脳裏を駆け抜けたりもしますが・・・。
あ、あと神山監督のインタビューも載ってます。ちょっと写真アップ過ぎて笑いました。

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2010.04.10

「東のエデン 神山健治の世界」

表紙も東のエデン、カラーページも東のエデン三昧、アオリは「『東のエデン』の世界を読み解く決定版ガイドブック」・・・だけど、「東のエデン 神山健治の世界」はタイトルに偽りなく、神山健治監督を特集した本でした。

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神山監督の仕事履歴とか、主要作品のデータベースも載っています。
東のエデンについてのインタビューも載っているのですが、それ以外に本の半分くらいのページを割いて、神山監督が延々と自分の人生や仕事の経歴について語ってます。

私は東のエデンを見るまで神山健治という人については「ウミノさんと友達」くらいの認識しかなかったので、「東のエデン」を好きになって最初にネットを回ったとき、この作品について深読みを繰り広げる人達の存在にかなりびっくりしたのですが・・・だって、全裸の男の子がホワイトハウス前に出てくる話に深読みも何もないもんですよ!なんかうっかり意味深に見えるところがあるだけだと思うじゃないですか!?

しかしそれは、神山監督という人を追いかけて来た人達の間では、「神山作品を鑑賞するにあたって非常に自然な行為」であることを知るようになるのでした。

だからつまり・・・神山監督という人は攻殻S.A.C.という、ややマニアックめの層に異様に熱狂的に愛好された超有名アニメ作品を作った人であり、その作品経由のファンからはもう舐めるように愛されたり、愛しさが裏返って憎まれたり、崇められたり、唾棄されたり、批判されたり、誤解されたり・・・・・・なんかそういうややこし~い感じのリアクションをする層を従えた一種のカリスマなんだと。

そしてその作品はオマージュだのモチーフだの伏線だの思想だのを大いに盛り込んであり、そういう謎解きをしたいがために人々は神山作品を追うのだと。その行為は刺激的であり、中毒的であり、作品を生み出した神山監督への執着へと繋がっていくのだと。

そんな感じに理解した時には「ええ~~」と思ったものですが、最終的に東のエデンもそういう作品だったことは、今では周知のことだと思います。


じゃあ、こういう作品を作ってる神山健治という人物とは何者ぞや、というのは多分攻殻の時にもさんざん語られたことと思うのですが、私のような東のエデンからの新参に改めて聞かせるべく出されたのがこのムックなのでしょう。
神山監督の制作者としての経歴はすごくユニークで、作品に匹敵するくらいドラマのある人生を送っている方なので、インタビューでまとめて語られているのは物語を読むようでとても面白いです。

「東のエデン」を追ってきた最後のまとめとして、一回読んでみるといい・・・と思うけど、神山監督の人生を把握するのに1200円というのは、世間的に妥当な値段かどうか分かりません。
60ページちょいしかなくて、すごい薄いしね!個人的にはインタビューは保存しておきたいくらい面白かったので買って良かったけど。


私は基本的にアニメは、一人の制作者の全作が好きということがあまりないので、「東のエデン」の後の神山作品を追うか?と言われたら「さあ・・・」って感じなのですが、でも「東のエデン」を通じて触れた神山健治監督という方は本当に魅力的だと思いました。

今後も変わりなくご活躍され、大成されて日本を代表する映画を作ってくださるようにお祈りしています。



じゃあ次作も応援しろよ!って話ですよな!
だからさーそうやって制作者を崇拝すると、新作が微妙に好きになれなかった時に愛が腐ってゾンビみたいになるから、神山監督の周りはなんか禍々しい気が渦巻いてるんじゃないかと思うんだぜ。
インタビューによると『Mだからそれがいい』らしいけど!(なんたる天職)

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2010.04.07

「東のエデン 劇場版I プレミアム・エディション」

「東のエデン 劇場版I The King of Eden + Air Communication プレミアム・エディション」、各地で早々に売り切れが出て、初回限定なのに四月再入荷と表示してあったりするのは何なんでしょうか。

私は例のイベントの参加券のために、アニメイト限定のDVD版を手に入れることになりました。このDVD版も発売日より前にネットでは売り切れてしまっていましたが。

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左上から時計回りに、プレミアム・エディションのみに同梱の
・羽海野チカキャラクター原案集完全版
・羽海野チカイラスト外箱
・TV総集編『Air Communication』及び『<4セレソン>JUIZとの日々』新作ドラマCD

となっております(最後の一つが本編ディスク)。

プレミアム・エディションが¥13440、おまけのないスタンダード・エディションが¥7140なので値段としては倍ほど違うんですが、¥6300でおまけだけでも売れると思います。いやホント。

おまけのメインは当然ながら、ほぼ一時間もある『<4セレソン>JUIZとの日々』で、これを聞かずして東のエデンを終える事なかれ!と断言してもいいと思います。セレソンNo.02の辻、No.11の黒羽、No.06の直元、No.10の結城の「ジュイスとの日々」が綴られたこのCDを聞けば、『劇場版Ⅰ』にあたかもこのシーンがあったかのように記憶が書き換えられてしまいます。


『Air Communication』は『Air Communication』でした。
映画館で何度か見たんでけっこう記憶に新しいんですが、今から思えばテレビ版をさらに補足するような(そして映画本編ではもう説明されないような)コメントもけっこう入っちゃってるんですね。
たかだか総集編に檜山さんを筆頭にこれだけの声優さんを出したのはすごい・・・そして滝沢君が出てないのも。おーい主役-。


「キャラクター原案集完全版」は、その昔、劇場版Ⅰ・Ⅱセット前売り券についてきた「キャラクター原案BOOK」をさらに増ページしたものです。今では幻の特典なので、こうやって新しいファンの方に見て貰えるのはいいことかもしれませんね・・・手に入れるためにすごい朝早くから並んだものだったけど・・・(遠い目)。

しかも増ページ部分がけっこう面白くて、大杉君がウミノさん案ではバレー部だったのには驚きました。
分かる人には分かるでしょうけど、ウミノさん案だからバスケ部なんだと思ってたのに。誰だバスケにした人は。

あと平澤の謎設定画。

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左と右、違う人じゃないですか・・・?
これを見るに、ウミノさんの中では平澤のイメージはハチクロの真山と野宮の間で悩んでたんでしょうか。
ちなみにウミノさんのインタビューでは平澤は加瀬亮さん(ハチクロ実写の真山役の方)を参考にしました!と言っているのに、神山監督のインタビューでは「プロダクションI.G.の平澤(実名)がモデルです(しかも中身は似てないらしい)」とか言うしで、謎です。

しかしおまけはもちろん素晴らしいけど、『劇場版Ⅰ』本編が手元にあるって本当に嬉しいですね。
それで私、これが手に入ったら絶対誰かに言いたかったんですけど

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この時の左手の動きがいやらしいですよね!

基本的に滝沢朗は、馴れ馴れしいなりにも咲ちゃんに対しては紳士(いい意味で)として振る舞っているんですが、隙をついてさりげなくね!しょせんお前もジョニーの一人だよな!
また咲ちゃんこと早見さんが絶妙に「あっ・・・」とくぐもった声を入れているので、あんまり意識して見てると、ここで鼻血出しそうになります。ゴールデンリングの感動、台無し!

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2010.04.04

キネマ旬報に神山監督

キネマ旬報 2010年 4/1号(3/20発売)に神山監督のインタビューが載っていた・・・のですが明日には次号が出るようです。記事書くのも後手後手で何とも。

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キネマ旬報って何繋がりだろうと思ったら、前に東のエデン特集をやった「ハマルアニメ」を出してたのがキネマ旬報社だった模様。


内容は、4ページ神山監督のインタビューがみっちりと、2ページ作品評が載っています。直接インタビューを取っておきながら、評がそれなりにところどころ辛口なのが面白いですね・・・さすが本物の映画雑誌というべき?
「『Ⅰ』は起承転結の起で終わっている」「劇場版二部作のポリティカル・サスペンスとしての経過には、もう一考を望みたかった」ってざっくりですね!
(でも八割方は誉めてました)←フォロー


神山監督のインタビューもかなり真面目なものになっています。
「【以下要約】企画を立てるにあたって、ノブレス携帯とセレソンゲームを縦軸にして、ポリティックなテーマを横軸にして編み込んである。プロダクションI.G.は横軸が得意というか、縦軸は伝統的に苦手だと思う」
ってのはそうなんだーそうかもなー(脳裏に走馬燈)と思いました。

あと、主役二人と横並びで結城について大いに語られていて
「【以下抜粋】結城は、自分が変わろうとしないから状況が好転していかないのを、状況のせいにし続けた者の代表として描いたんです。残酷ではあるけれど、変わらないことも罪なんです」
と言われていてどっひゃー!て感じでした。
そういう人の方が多いもんな・・・だから親近感で人気あるんだろうな・・・。
それで最後がアレって。

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2010.04.03

「神山健治×AR三兄弟トークイベント」雑記

3月27日(土)東京アニメアワードの授賞式の後「PUBLIC/IMAGE.SESSION Vol.3 :神山健治×AR三兄弟」
というトークイベントがあったので、神山監督を追いかけて参加してました。

会場は、四方真っ白な壁に大きなガラスをはめ込み、壁に乱雑に描かれた絵や人形が無数にディスプレイしてある、洋画の精神病棟のレクリエーションルームみたいな部屋でした。芸術ですね・・・。

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UStreamで中継してたので、てっきりアーカイブ出るものだと思って特にメモとか残してなかったら、出ませんでした。

というわけで覚えてることを適当に。
話は、神山監督とAR三兄弟長男さん(次男三男喋らない・・・)が雑談するのを司会の方がたまにまとめる感じで、進行とかほとんど無いようなものでしたが、内容も笑いもあって充実した会でした。

特に、ケータイとARという技術についての話が面白かったです。ざっとダイジェストで(てか全部は覚えてない)書いておきます。

神山監督:「東のエデン」で既得権の話を少し出したが、例えばヨーロッパでは、親が家を買ったら子供はそれを継げるので、(家を買わなくていいから)車を買える。でも日本では、次の世代もイチから、家に電気に水道に道路に、金を払わなくてはならない。だから現代の若者はインフラに金を払うのが馬鹿馬鹿しくなって、ケータイに価値を見出し金をつぎ込むようになったのではないだろうか。
昔は若者は反逆するときにギターを抱えたものだったけど、今はケータイを抱えて四畳半に立てこもって後ろ向きに反逆している。今の若者にとってケータイはギターなのだろうか。

AR長男:ARという技術もギターなのかも。ゴッホが今の時代にいたら、きっと油絵は描いていない。閉塞感を打ち破るような新しいことをするためには、新しい表現手段が必要で、それが現代ではARだったりするのだと思う。

神山監督:時代の閉塞感を打ち破るというのを、アニメではミサイルを落としてゼロからやり直す、という分かりやすい話にした。でも本当は今現在は、インターネットやパソコンのようなまったく新しいモノが登場して、まだ誰もどう使うべきか分からないからそれを使って好き勝手出来る、いい時代なのかも知れない。


この話を受けて、観客から「若者はケータイに価値が集約してくるという話だったが、情報世界で何かを手に入れるということに、若者はそれほどまでに価値を見出していくのだろうか?」という質問が出まして。

神山監督:若者が現実世界より情報世界がいいや~っていうのは、肉体的に充実していて本当は現実世界で生きていくのにそれほど困っていないからだと思う。若者ほど「死にたい」って言うのと似てる。死にかけてる老人は死にたいって言わないでしょう。
(監督の私見では)肉体的に不自由になってきた老人から、情報世界に本格的に入っていくことになると思う。攻殻では戦争で失った肉体を補うために義体が開発された、という設定にしたけど、同じように、老化で衰えた視力などを補うために、例えば肉体から直接ケーブルで情報世界に繋いで入っていくような技術が必要とされ登場する未来があるのでは。

このあたりの話はものすごく面白かったです。


あとAR長男さんから「最近は誰でも作品を作って発信できるようになったが、それをどう思うか?」という質問がありまして。神山監督からの答えをざっと。

『淘汰のプロセスが違うだけ。アニメ業界なら、最初の数年は飯も食えない仕事もキツイで、どんどん脱落していくが、そこを抜ければ大勢の人に自分の作品を見て貰えて、しかもそれでお金も貰える(その段階まで来れば、自分の作品を世に出すために自分ではない誰かが働いてくれるようになる)。
今のネットは、何かを発信するのは簡単だけど、それを大勢の人が見てくれて、それで飯が食える、というところまで行くのはとても難しい。

ところで昔はミュージシャンになれなかった人間が、絵なら描けるのではとイラストレーターを志望し、それも上手くいかないとコピーライターを目指した。しかしプロとしてコピーを書くのも難しく、それでも字なら書けるんだからと、発信手段としてブログが出てきた。でも見て貰えないと寂しいからと友達に見て貰えるmixiへ移り、さらに日記を書くのも面倒くさくなってつぶやくだけのtwitterへ・・・というのが今に至る流れだろう。
でも誰もが何者かになれるわけじゃない。つぶやきだけで何か為せる人なんてほとんどいない。
自分が最も輝ける場所を、できるだけ早く探して、そこで精一杯やるのが一番いい。twitterよりmixiやブログの方が向いていると思ったら戻るべき。

ただしそれは普通の人の話で、一度プロになったらブログでべらべら喋るのはどうかと思うけどね~プロだったら誰かが自分の話を聞きに来てくれて、それを記事にしてくれるのを待つべきでしょ~聞かれる前に言っちゃうのはどうかな~。』


というような話をしてました。ううーん興味深いですね!


謎の企画だったんで不審を抱きつつ参加したんですが、ここに書ききれないこともたくさんあって、この日聞いたことは今でも反芻して色々考えています。よい会でした。

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