3月のライオン、本当は連載中に読みたいんだけど、ヤングアニマルのハードルは高く・・・。
そして単行本で読むと、ひとつひとつの話を自分の中に収めるのに何度も読んでしまって、それでもまだ足りないような気がします。ハチクロもそうだけど、時間が経って自分が変わると、また違う読み方も出来るんですよね。
しかしまあ、とりあえず発売したばかりなので発売直後の感想など書き留めておこうかと。
というわけで羽海野チカさん著、3月のライオン3巻。
あらすじは・・・零くんが正月に風邪を引いてから、島田さんの研究会に入るまでの話。
おおお何一つ説明できてる気がしないぜ・・・。
川本家の台所とか風呂とか、おせちとか猫とかが大好きであります。
あとはお化粧してきれいな服を着たあかりさんがもっと出ればいいのに。ヤングアニマルにおける3月のライオンの一番人気キャラは、あかりさんか?と思ってるけど、あの前ボタンが閉まりきらない服を常に装備していらっしゃる様は、女性的にもたまらないものがあります。
カラーポスターのヒナちゃんのハミ尻(すいません)もいいですけどね!あのポスターの回だけヤングアニマル買ってしまった。まんまと・・・。
といいつつ、本命は「よじよじ」のモモちゃんです。
まあそんな前振りはともかく3巻のすごさに戦慄したので、それを上手く書けるかやってみます。
3巻の一番すごいわ!と思ったのは二海堂が、桐山(零)に頭をカチ割られて「救われた」くだりでした。
「オレより強いヤツがいる
オレより努力した人間がいる
オレは独りぼっちじゃないんだ」
これはその手前の「弱い相手が全て努力を放棄した卑怯者に思えてイライラした」という言葉から繋がってくるんですが、この気持ちが分かるか分からないかって、結構人生の生き方にも左右される気がしますが。
ただこの漫画に限るなら、このセリフは確実に2巻最後の零の「弱いのが悪いんじゃんか」「弱いヤツには用はねーんだよっっっ」に重なってる言葉だと思うわけです。
努力してないくせに、負けたのを人のせいにして。
そしてそう思う自分を、ヒトを喰いちぎる獣のようだと感じる苦しさ。
その苦しみが、二海堂によって「自我のカタマリになり果てる」と言い替えられる。
それは誰かが頭をカチ割ってやらないと救えないのだと。彼より強く、彼より努力した人間が。
そうして零は、島田さんの勝った姿にそれを見る。
獣になり果てると思ったその道のまだ先、遙か遠い場所、その果てに独り立っている人の姿を。
この感情を零は「胸の中がグシャグシャになった」と言っているわけですが、それはつまり「オレは独りぼっちじゃないんだ」ということが零の中で分かった瞬間なわけですよ。
ヘレンケラーでいう「water」の瞬間ですよ!(いきなり話題を落としたくなるのはウミノファンの仕様です)
1巻と2巻は何となく漠然とした話だったのが、3巻で美しい将棋の棋譜のごとき組み立て方でラストになだれ込んだのは、手が震えるほど感動しました。
しかもこの零の「water」にはもう一個、それが単行本で読んでたら絶対泣かざるを得ない「一人じゃどうにもならなくなったら誰かに頼れ でないと実は誰もお前にも頼れないんだ」という言葉が織られているわけで。
これ、この言葉だけでも秀逸だと思うんですが、この話の中では「いつでも誰にでも頼ってもいいんだよ」みたいな優しい言葉では全然ないですよ。
島田さんが研究会に零を誘うのを、「自分で行ってくるのを待つしかない」と言ってるように、「頼ることすら努力しないといけない」ということなんですよ。
だから・・・一生懸命ひたすら頑張ってれば、ピンチになった時、その姿を見た誰かが自然と助けてくれる!みたいな・・・まあ他の漫画を比較するために挙げるのは変だけど、あえて挙げてバクマンとかサマーウォーズとか(どっちも作品としてはいいんですよ!最近流行りのってことで)みたいな感じが世間の物語では多いと思うんですが。
ウミノさんは違うんですよ。自分が頑張ってて、さらにそんな自分を見てくれてて、助けてもいいって思ってくれる人がこの世にいるとしても、その人に助けてもらうためには、自分から手を伸ばして助けを求める過程が必要だって言ってるんだと思うんですよ。
でも実際、現実を生きてて、「こんなに頑張ってるのにどうして誰も助けてくれないんだ・・・」と思ってる人、思う瞬間ってあると思うんですが。
「お前が助けを求めんからじゃー!」(意訳)とウミノさん(漢)は言っておられるのだと思います。いやそこまでは言ってないにしてもさ。
ウミノさんが漫画で言ってることは全部、説教じゃなくて自責ですよNE☆
ヤングアニマルで三浦健太郎が三月のライオンに、「今、アニマルで、一番男らしい漫画ですよ。」という言葉を寄せておられますが。
この飄々と自分の好きに生きるのが格好いい風潮の21世紀で、頑張っていいんだ、それで努力したのにみっともないことにしかならなくてもいいんだ、それが辛くなれば誰かに頼ってもいいんだ、と石版に一つ一つ文字を刻むように描いてらっしゃるウミノさんは本当にすごいと思います。
こういう漫画が現在進行形で一つはないと、思う通りにならない現実、生きにくいよ。